デコレーション

<箱崎 藍之介>



金曜日の練習後、今日もファミレスに集まる4人。高校に入るまでは、まさか自分がこんな羽目になるとは思ってなかったメンバー…。そう、セックスの時の女役、いわゆる『受』の面々が集っての交流会(一週間のエッチの報告会とも言う)をそれぞれの彼には内緒で開いているのだ。


「昨日…阿部君が機嫌悪そう…だった。入れる時も、動くときも…その、ちょっと無理やりで…痛いって言っても…聞いてくれなくって…(涙目)」
「おいおい、そんくらいで泣くなよ。栄口なんて機嫌がいい時も悪い時も、ガンガン突いてきて、ひどい時はバイブ突っこんだまま縛っといて、自分だけシャワー浴びて帰ろうとするんだぜ?」
「痛いやつ?俺はもう慣れたぜ。でも最近、浜田の奴もSMに興味持ちだしやがって大変なんだよ。無駄に乳首つねってきたりとかさ…」

  3人の熱い話の輪に入れないものが一人いて…

「は…花井君は、今日…あんまり喋らない…ね?」
  一人のその言葉に、話の輪に入れなかったものの方に視線が集まる。

「じゃあ、聞いてくれるか?昨日の田島とのやり取り…」
そう言って、ため息交じりに彼が口を開いた。



 休日の昼間はたいてい一緒に過ごすことになってるので、いつも通り花井は田島の家にいた。といっても、基本的にやることはなくて、ゲームしたり、時々田島に勉強を教えたりしていた。…が、今日はいつもと様子が違った。
「昨日、男女ものの裏ビデオ借りたんだ。せっかくだから見ようぜ?」

  田島にエロビデオを見せられることは度々あったが、裏ビデオは久しぶりでどんな内容かと花井の方も俄かに胸躍らせた。始まってみると、童顔の女優が裸エプロンでご奉仕をする内容で、男優はエプロンを着たままの女の人と絡んでいる。そして、一度愛撫を中断してエプロンを脱がすと、どこに準備していたのか、生クリームを乳首やら首元やらに塗りたくって、いやらしい言葉でなじった挙句、それをペロペロと舐めはじめた。女性の方は気持ちよくなってきているのか、喘ぎ声を盛んに出している。そろそろ挿入シーンか…と思われる絶妙のタイミングで田島はビデオを止めた。

「なぁ…花井、これ着てくんない?」
  そう言って田島が差し出したものは、紛れもなく白いフリフリのついたビンク色のエプロンである。どっから持ってきたのかと問うと、「ゲンミツに企業秘密」とだけ答えられてしまった。田島は好奇心旺盛な少年のように瞳をキラキラ輝かせながら花井を見つめている。こうなってしまうと、花井も後に退くことはできない。諦めたような声で、「じゃあ着てやるから、一旦部屋の外に出てろよ。」と言って、田島を部屋から追い出した。
  「はぁ…」と小さなため息をついて、手の中のエプロンを見つめる。過去にもやたらと大きなバイブを入れられたり、縄で縛られたりと危ない感じのプレイはあったものの、まさかの裸エプロンだ。こればかりはさすがにチームのキャプテンで度胸も根性もある花井であっても覚悟が必要だった。
「おーい、花井まだぁ?」
  ドアの外から田島の声が聞こえる。もう覚悟を決めるしかないと思った花井は、思い切って服を脱ぎ捨て、明らかにその大柄で筋肉質な肉体とは不釣り合いのピンクのエプロンを身につけた。花井には少し小さめのサイズだったが、田島の部屋の鏡で見てみると意外に違和感はなかった…が、さすがに声は出なかった。なんだって、こんな格好に…その思いが拭い去れなかったからだ。

「もう…いいぞ…」
  明らかに覇気のない小さな声で花井が言った。その刹那、待ってましたとでもいうように勢いよく田島が部屋に入ってきて、花井を上から下まで舐めまわすように見つめた。

「すっげぇ〜♪可愛いじゃん。」
  可愛い…なんて人生で一度たりとも言われたことがない言葉で、気付かないうちに頬が真っ赤になっていた。そんな花井を見た田島は、何かを見つけてニヤリと笑った。

「照れてるくせに、ここは正直なんだね♪」
  そう言って、田島は花井のエプロンの、明らかに盛り上がっている部分を掴んだ。さっきのビデオから続く興奮で、ずっと勃ちっぱなしのそこは元気にピンク色の布地を押し上げている。突然、田島の手によって刺激されたそこは、まるで驚いたみたいにビクンと跳ね上った。花井は声をあげそうになったが必死でこらえた。田島は、花井がそういう性格なのを知っていたので、花井を鳴かせてやろうと手を少しずつ動かし始めた。田島は自分のモノよりも数段大きな花井のものに触れる手に少しづつ力を込めていく。エプロン越しなのでよくわからないが、顔と一緒で、すでに真っ赤に膨れ上がっている先端には少しずつ先走りの汁が浮かび始めているようだ。

  「んっ…うっ…」
  我慢できなくなって、花井は小さな喘ぎを洩らし始めた。田島は何か面白いものを見るような表情で花井を見つめている。田島は空いていた左手で、花井の袋の方も刺激し始めた。花井はとうとう諦めたのか、はぁはぁと荒い息遣いの合間に喘ぐ回数が増えてきた。
  「はぁ…あっ…田島ぁ…オレ我慢できなくなってる…かも…」
  こういう時の花井は、ものすごく素直で可愛い。そのことは他ならぬ田島が一番よく知っていた。でも…だからこそ虐めたくなってしまうのだ。田島は急にエプロンの内側へと手を滑り込ませ、花井のモノを掴んだ。「えっ…ぅわっ…」という花井の驚きの声は完全に無視して、右手で幹に、左手で先端に、同時に刺激を与え始めた。さすがに日々オナニーを研究していた田島の手技は、いつものように一瞬で花井を絶頂へと持ち上げていく。

  「やば…もう…だめ…はぁ…イク…あ…ふぇ?」
  いまにも発射しようというまさにその瞬間、田島は花井のモノの根元を両手でギュっと握り、射精を妨害した。
「なんで…?たじ…どうして…イかせてくれないの?」
  おあずけを食らった状況になった花井は、子犬のような瞳と声で、田島に問う。そんな花井の様子を見てニコニコ笑いながら、田島は部屋を出た。状況を飲み込めない花井は焦点の合わない目を閉じて考えた。田島(あいつ)は何を考えているんだ…?ただ、その答えは簡単に花井の頭に浮かんだ。それと同時に、恐ろしい想像が頭に浮かんだ。

  「お待たせ〜♪」
  さっきよりもさらに笑顔で戻ってきた田島の手には、市販の絞るだけの生クリームが握られている…。間違いはなかった。

「おい…田島…もしかして?」
「もしかしても何も…決まってんじゃん。早くそれ脱いでベッドに上がってよ☆」
  相変わらずこっちの意見は全く効かないやつだと思いつつも、花井は素直に田島に従った。そうすることで気持ちよくなれるということは、過去の様々な経験から実証済みだったから…。ベッドに仰向けに寝転んだ花井の顔を、満面の笑みの田島が覗き込む。

「いくぜ…」
  その言葉の直後、冷たいものが花井の鎖骨部分にくっついた。そのあとも、首筋、へその周りの腹筋、乳首と順番に生クリームがあしらわれていく。

「ここにもデコレーションしてやるよ♪」
  その声とともに、先走りでヌルヌルの先端がプリンであるかのように、生クリームがちょこんと乗せられた。意識せず、クリームを載せられた瞬間にまた花井のモノが跳ねた。田島はそれを見て、「お前のって本当に元気だなぁ…」と呆れるように言った。

「じゃあ…いただきます☆」
  田島はそう言うと早速、首筋にキスをするように優しくクリームを舐めとった。「甘い♪」と言いながら、何度も同じところを舐める。田島は、花井の性感帯というものを全て知り尽くしている。首筋は特に弱いところだ。それだけじゃない、鎖骨も腹筋も、全部花井の性感帯…。田島の舌が首元を通って、鎖骨へと下りていく。その形をいとおしむ様に十分舐めまわすと、一気に飛んでヘソへ…。花井の方は、ピンポイントにいいところばかりを攻められ、早くも吐息とも喘ぎともつかぬ声を洩らしていた。
「や…気持ち…いいよぉ…」
  田島はそんなBGMを聞きつつ、今度は乳首に吸いつく。下半身の次の性感帯であるそこに唇があてがわれた途端、「んっ…!!」という声とともに花井の躰が大きく跳ねた。
「クリーム…甘いぞ?花井も舐めたいよな?」
  田島の声に、花井は力なく頷いた。エッチしてる時の花井は本当に素直だ…。可愛い…。我慢の限界に到達した田島は、先ほどからビクビクと動いている花井のモノを一気に咥えた。…が、すぐに口を離した。「ふえ?」という少しマヌケな声をあげた花井だったが、その口はすぐに田島によってふさがれた。花井の唇は田島の舌よってこじ開けられ、その舌とともに甘いものが侵入してくる。…生クリームだ。

「大好きだよ…梓…」

  文字通り甘い、そして長いキスの後の告白。花井は『梓』って名前は女っぽくてあんまり好きじゃない…けど、田島になら呼ばれてもいいかなって思っていた。それを許すことで、自分にとって田島が特別な存在だということを刻みつけることができるから…。だから、花井の方も他の誰もが呼ばない呼び方で田島を呼ぶ。

  「ユウ…俺…もう我慢できねぇ…」

  その懇願が合図であるかのように、田島は机の引き出しからローションを取り出す。それをしっかりと後ろをほぐしつつ塗りこめていく。花井はその過程の間、なんどもイきそうになったが必死でこらえた。田島は指先まで本当に器用すぎる。ひどかった時は指だけで2回もイかされた。 「んじゃあ…挿れるからね…」

  優しく耳元で囁いてから、一気に貫いていく。花井のモノ程ではないが、それでも平均より大きなそれは圧倒的な存在感で花井を絶頂へと引きずり込もうとする。田島の方もひどく興奮しており、最初っからラストスパートのペースで激しく腰を打ちつけていく。パンっパンっという筋肉が触れ合う音の合間から、二人の激しい息遣いが漏れる。

「あっ…ユウ…もっと…優しく…し…」
「ムリ…だ…って…あ…ずさ…か…かわい…すぎ…」
「やばい…もう…いく…かも…」
「じ…じゃ…もっと…激しく…してやる…」

  そう。田島は花井のイイところは全部知り尽くしている。一点に集中して、そこにうまく自分の先端が当たるように体制を変え一気に突きあげる。

「あぁ…ヘンになる…おかしく…なるよ…でっ…出る!」
「俺も…ゴメン…中に…出すよ…」
「梓ぁ…」「ユウ…」

  初めて二人同時にイった…。花井の尻から流れ出して来る自分の精液を、「ここにもクリーム…」と言って田島が舐めとり、再び口移しで花井にも分け与えた。そのまま、二人でベッドに横になり、夕方過ぎまでまったりと日曜の午後を過ごすことになった。



「なんだよ。すっげぇ幸せそうじゃん。」泉がつまらなさそうに声を上げる。
「本当だよ。いいよな、ユウ君は優しくて…ね?梓。」水谷もいたずらっぽく笑いながら茶化す。
「梓ってのはやめろって」花井はそう言いながらも紅くなっている。

「でも…」三橋の言葉に時が止まったように静かになった全員が注目する。

「お…オレも…花井君の…裸エプロン…見たい…」目を決して合わせないように言うが、その言葉には強さがあった。
「そのエプロン。どうなってるわけ?」水谷が興味津々と言った様子でそう聞いたので、花井は正直に、「田島が俺に『また使うかもしれないから、お前が持っとけよ』っ言ったから、部屋に置いてある」と告白した。

  …その告白と同時に、3人の目が輝いた。

「じゃあ、今からみんなで花井の家に行こうぜ。」泉がまさかの提案をして…
「そうしようそうしよう。今日はみんな泊まりな。」水谷もなんだか嬉しそうで…
「明日…練習休みで…良かったな。」三橋までもが乗り気で…

「キャプテン!しやすっ!」三人そろってニヤニヤしながら頭を下げてくる。 花井はもう逃げも隠れもしないと決めた。

「まっ…いっすけど!」

《次回予告》
さぁて、来週の『おおきく振りまくって』は?

…浜田です。

  4人集まった受け子ちゃんたち…でも、実はみんな攻めは未体験の童貞だったみてぇだな。どうしようもない状況の中で、裸エプロンを着せられたチームで2番目の巨根、花井梓が動き出すぜ!オレも仲間に入りてぇ〜… > 次回、『おおきく振りまくって』 「主将、勃ち上がる」
「水谷、受の血を抑えきれない」
「さわやか3組、絶倫9組」
の3本です。

  来週もまた見てくださいね。
  じゃんけん…ぽん!うふふふふふ腐…

 

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